英検・TOEICによる大学入試の現状

2020年度から大学入学共通テストの民間試験(事前受験)が始まりますが、中高生に馴染みの深い従来型の英検は残念ながら落選してしまいました。従来型の英検は二次試験ではじめて「話す」能力を測定しますので、四技能を同時に測定するという共通テストの枠組みから外れてしまったのです。四技能を同時に測定する新型の英検は合格しました。

ただし、新型の英検には多くの運用上の課題があり、実際に試験を実施するためには、これから細部を詰めていかなければなりません。いずれにしても、手探りの状態での船出となりました。学校教育の現場でも、正規の授業の枠内で新型の英検への対応が必要となり、当面の間、試行錯誤の連続ではないでしょうか。

現在、高校では、英語コミュニケーション、英語表現、英会話の三つの授業を受けますが、今後はこのスキーム(構成)の中身を見直す必要があると思います。従来の文法と読み物主体の勉強法に加え、実際の生活などでの会話や説明のための時間が増えていくと予想されます。些細な文法知識よりも、コミュニケーションで必要な能力(例えば、少々間違えてもいいので、相手に通じるように話すなど)の開発が必要になると思われます。

英検とは少し趣旨は異なりますが、TOEICの場合、スコアが800点台であっても、実際の仕事の現場では二の足を踏むビジネスパーソンは多いのが現状です。TOEIC対策を英語補習校でやれば、短期間で高得点を取ることができますが、反面、米国に出張して、実際の会議になると、黙ったままの時間が過ぎていくのが辛いところです。一緒に行った役員からは「当てにしていたのに」とチクリ。また、TOEICは高校生にはあまり向かないかもしれません。

大学入試に英語のどんな能力が求められているのか、私たちには未だよく分かりませんが、多数の科目の試験を受けなければならない受験生の負担を軽くするのであれば願ったり叶ったりです。反対に混乱を招いたり、しんどくなるようなことであれば、今回の大学入試改革は意味がありませんね。知識の多寡を問うのか、実際のコミュニケーション能力を問うのか、英検に限らず、各試験で測定する事項をはっきりさせなければなりません。