仮定法 その3

文法仮定法

★ 基礎Ⅰレベル(TOEIC ~600点 / 英検2級)

2001年夏頃の仕事の打合せメモ(教材用に少し加工しました)をもとに事例を見ていきましょう。

If the high performance carrier class equipment our customers really requires, such as RT7500 series core routers, was early deployed, we would have a chance to acquire them, but we’ve lost it.
RT7500シリーズのコア・ルーターのような顧客が真に望む高性能なキャリア・クラスの(通信事業者が使う)装置を早期に導入していたら、顧客獲得の機会を得られたものを、実際には逃してしまった。

短い文章ですが、もとは実際に打合せで話した内容です。仕事では(特に外国人の多い公式の会合では)、直接的に失敗原因に言及することは稀です。企業間の利害が絡み、長時間の打合せで主観論も出てくるようなときは、相手は、英語の苦手な日本人が学校英語を使っているとは考えてくれません。本気で怒り出したりもします。

そんな時に火に油を注ぐことなく、必要なことを言う場合は、婉曲話法(この場合は仮定法)を用いて、やんわりと、しかし、しっかりと言う必要があります。この文章を直説法の過去形に直せば、責任の所在は明らかで、どの企業(あるいはどの部門)が失敗コストを負担すべきかが明確に分かります。しかし、話し言葉は上記のようにするのです。

解説

話言葉ですので、主語が多少長くても、適切に区切れば、相手は分かってくれます。今回は主語を明確にする必要があったため、冒頭で必要な語句が整然と並んでいます。our customers really requires, such as RT7500 series core routers は、その前に which (that) が省略されており equipment にかかります。equipment はよく出てくる不可算名詞です。equipment は、準備の意味合いが強い語です。

If the equipment was deployed で「その装置が導入されていれば」という仮定法過去の条件節が示されています。実際には、計画の遅れから導入されていませんでした。deploy は部隊が展開する等の意味ですが、エネルギーや通信などの設備産業では、この意味でよく使われます。教科書や書き言葉では、本来の were を使いますが、口語では例のように was を使うことも多いです。

もし、導入されていれば、顧客獲得に結び付いたのですが、実際にはそうなりませんでしたので、we would have a chance to acquire them と結言を持ってきました。acquire は、~を手に入れる、獲得するで、自分のものにするという意味合いのobtain とはニュアンスが違います。but 以下は、結言を協調して、事実を述べています。